古民家再生工事K様邸(山形県長井市) 山形県長井町のK様邸。かつては米沢藩主・上杉家との交流もあったという家柄を持つ、築200年超の趣きある古民家です。この度二世帯同居となるにあたり、古民家改修工事を行わせて頂く運びとなりました。 工事概要建物:築200年超の古民家 建坪:約50坪(改修部分) 工種:リノベーション工事 工期:約3ヶ月 設計:山形技建一級建築士事務所 施工:山形技建株式会社 施工前の状況1.施工前菱葺き屋根が特徴の、築200年超の趣きあるK様邸。 この度、二世帯同居となるため改修工事を当社にて施工させて頂く運びとなりました。 2.現地調査施主様と当社の設計士とで入念に打ち合わせを行います。破損箇所の補修計画や家族形態の変化を考慮して、様々なプランを練っていきます。 『基礎』の調査をしてみると、大部分が建築当時の『束石(つかいし)』であり、増築部には『布基礎(ぬのきそ)』が打たれていました。一体性を持たせて耐震性能を向上させるため、改修方法を検討していきます。 玄関部分。引き戸部分に段差があり、使い勝手に少々難がある形状となっていました。 施工〜完成1.解体工事『基礎』から改修を行います。補強となる筋交いを入れながら柱を残し、壁や天井の解体を進めます。 2.配筋工事既存の基礎を覆うように木の型枠を組んだ後、基礎の骨となる『鉄筋』を配置していきます。 3.基礎工事基礎の打設(だせつ)が完了した様子。今回は『束石』部分も覆うように施工しています。 4.木工事完成した基礎コンクリートの上に木材で土台を敷き、既存の柱と連結していきます。 床の下地材となる『大引(おおびき)』『根太(ねだ)』を、土台の上に渡していきます。 痛んでいた『梁(はり)』の一部を新しい材料と取り替え、既存の柱と連結しています。 柱や梁などの古い部材を極力活かしつつ、補強が必要な箇所について適切に対処していきます。 既存梁の重厚な雰囲気を活かしながら、天井は『杉板張り』で仕上げていきます。 5.左官工事玄関部分の土間基礎を施工。引き戸部分の段差を極力抑え、使いやすいよう工夫しました。 6.内外部完成写真外観(1) 家族が集まって団欒できる、天井が高く広々としたリビングです。 味のある既存の柱や天井の梁に合うように、『建具』も趣を感じられるデザインにしました。 柱の表面にある斜めの痕は、まだ木材の機械加工技術が発達していなかった時代に、職人が手斧(ちょうな)という道具で一本一本仕上げていった際に生まれたもの。家の持つ歴史や、経年変化による木材の美しさを残すことができるのは、古民家改修の醍醐味のひとつです。 温かみがあり広々とした玄関ホール。コンクリートのままだった土間部分は、玉砂利の『洗い出し』にすることで、純和風な雰囲気に品良く調和しています。 2階の居室は、フローリング及び腰壁に木材を用い、落ち着いた居心地の良い空間となるよう配慮。 交差する太い梁材を現わし、居室に古民家改修ならではの趣きを加えました。 各部屋に繋がる廊下も建具や腰壁、照明にこだわり、家全体の雰囲気に合わせています。